熊本で平成元年創業の有馬写真館というフォトスタジオとオーダーメイドフォトブックのオンラインショップを経営しているプロカメラマンの有馬と申します。
創業当初より、つい見た目の印象だけに気を取られてしまい本質的な価値を見失いがちな記念写真について本当に価値のある記念写真とは何かということをずっと追求し続けています。
写真会とは
これまでずっと真剣に「本当に価値のある記念写真とは」というテーマを元に記念写真と向き合ってきた結果ひとつの新しい言葉を日本全国、世間一般に浸透させていくことを決意しました。
その言葉は「写真会」。
家族で記念写真を撮る機会のことを指す言葉です。
これまで写真館にお宮参りや七五三などの撮影をしにいっていたのももちろん写真会。
出張カメラマンに来てもらって撮影するのも写真会。
とにかく家族で写真を残すために行うイベントのことを「写真会」ということにしたいのです。
使用イメージとしては
「来週火曜日は入学記念で写真会の予定なんだ」
「今度〇〇で妹の誕生記念で写真会やることになってる」
「お父さんの還暦の写真会いつにしようか?」
のような感じです。
「会」を使うことにより硬すぎず誕生会やクリスマス会などと近い印象を持ってもらえると思っています。
なぜ「写真会」という概念を広めたいのか。
その理由をご紹介していきたいと思いますが、内容としては皆様のこれからの写真の残し方に必ずプラスになると思いますのでぜひ最後までサラッとでもいいので目を通していただけたらと思います。
時代の変化と記念写真の価値
写真が一般的なものになって100年ほど経ちますが、その間写真を取り巻く環境は劇的に変わってきました。
始めは白黒で庶民にとっては簡単に撮影できるものではありませんでしたがカメラやフィルムの進歩により各家庭でも徐々に手軽に撮影できる環境が整っていきました。
家庭において記念写真を撮ること自体が貴重だった時代は写真そのものの存在価値が高かった。しかし今はスマホでいつでも気軽に写真が残せる時代。
記念写真の価値はそのような変化によって下がってきているかというとそういうわけではなく、いつの時代も同じはずです。
なぜならば記念写真の正体は思い出そのものだからです。
というとちょっと抽象的でもやっとしますよね。
もう少し具体的に言うと写真は思い出を呼び出すためのカギのような存在であり、写真を見ることで記憶を呼び起こすということを繰り返すことにより、脳に思い出を定着させる存在でもあります。
大切な写真とはイコール大切な思い出の瞬間を記録した画像ですので記念写真の正体は思い出そのものというのもあながちオーバーな表現というわけでもありません。
1枚の写真からはその時その瞬間だけでなく、その他のエピソードについての記憶も呼び起こすことができます。
改めて写真という存在について考えてみると写真がどれだけ価値のあるものかお分かりいただけると思います。
「写真会」という言葉が必要な理由
みなさんは家族で記念写真を撮るときはそのまま「家族で記念写真撮る」というような表現をされてると思いますが…、ちょっと長いというかやぼったい感じしませんか?
家族で遠いところにお出かけするときは「旅行」
お店でお金と引き換えに物を手に入れることを「買い物」
みんなで桜を見ながら飲食することを「お花見」
というように
家族全員でこれから先残していくための写真を撮ることを「写真会」と表現してみても違和感なく使えそうですよね?
「写真を撮る」だとちょっと意味が広すぎますからね。
なぜ写真会という言葉を使って欲しいのかというと
写真を撮るということが日常的で当たり前になった今だからこそ
特別な写真を残そうとするときには写真会と表現して特別なものとして認識していただきたいのです。
普段みんなそろって食事をするのはただの食事ですが誰かの誕生日を祝うイベントは「誕生会」ですよね。
クリスマスを祝うのはクリスマス会。
同級生が久しぶりに集まるのは同窓会。
将来に残す特別な写真を撮るためのイベントは「写真会」。
「写真」も「会」もよく使う言葉ですし違和感なく使っていけると思うのです。
いろいろ考えましたがこれが一番シンプルでなじみもよくベストだと判断しました。
もう一つの理由は将来に備えてちゃんと写真を残していかなければいけないという意識付けになるということ。
写真会というイベントを認識してもらうことで「年に一回必ず〇〇で写真会しよう」などという発想が生まれたり、「今度子供の初節句だから写真会しよう」「入学記念に今度の休み写真会しようか」などと写真を撮るということに対する意識が変わってくると期待しています。
自分たちで撮るのも写真会
前項まで読んでみて「結局写真屋が自分の仕事増やしたいだけで書いてるだけじゃん」と思った方もいるかもしれません。
しかし私が言っているのは写真会は家族にとって特別な写真を撮るためのイベントであるということであり、それは必ずしもプロに撮ってもらうということではありません。
自分たちだけで撮影するのも立派な写真会です。
思い出の場所に行って三脚を使って1枚写真を撮る。これももちろん写真会。
入学記念にみんなで桜を見に行き桜の木の下で記念撮影。
七五三詣りで神社に参拝してみんなで記念撮影。
1歳の記念にじいちゃんばあちゃんを招待してみんなで子供とバースデーケーキを囲んでセルフタイマーで写真撮影。
これらは全部写真会と言えます。
普段何気に撮る写真とちゃんとみんなで思い出に残る写真を撮ろうという認識を持って撮られた写真は価値が大きく違います。意識的に機会を作って価値ある写真を残すのが写真会です。
この記事は私がこれまで記念写真の本質にプロとして真剣に向き合ってきたからこそ気付いた記念写真の本当の価値を皆さんにも共有していただき、人生をより豊かなものにしていただきたい一心で書いています。
プリントして飾ったりちゃんとアルバムにすることが必須ですが、家族で特別な写真を撮るという行為は家族の絆を深めます。
特別な写真が存在しているということを日ごろから認識することで、互いに対する思いやりや接し方が変わってきます。するとかける言葉も変わってきます。家族からパワーをもらうことで学校や職場でのパフォーマンスも変わります。
その積み重ねが家族みんなの人生を豊かにします。
その積み重ねを作るためのツールが記念写真であり、記念写真を生み出すのが「写真会」なのです。
最後に
写真会という言葉、初めて目にする方がほとんどだと思いますがいかがでしたでしょうか?
なぜこの言葉が必要なのか少しでも伝われば幸いです。
良かったらまずはSNSなどでも使ってみてください。
シンプルな言葉ですし周りから見ても大して違和感はないはずです。
実は写真会以外にも「フォトギャザリング」「フォトレコーディング」などかっこつけた横文字も候補に挙がっていましたが取ってつけたような言葉よりも素直に日本語で「写真会」が一番しっくりくるし皆さんに気軽に使っていただけるかなという結論に至りました。
当店のキャンペーン名でもサービス名でも何でもありませんので一般の方もプロカメラマンの方も使っていただきたいと考えています。
とはいえまだまだそこまで影響力があるわけではありませんので私自身もこの言葉を意識的に使うようにしますし、伝えていく方法もこれから考え続けていきたいと思っています。
写真を撮るということや写真を大切にするということに対する意識が変わっていけば、それはめぐりめぐって社会全体の発展や幸福につながっていくと信じています。
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有馬写真館
代表 有馬明広